ヘッジファンドの投資家

ヘッジファンドの投資家

日本の富裕層

日本の富裕層 「日銀資金循環統計2013年第一四半期速報」によりますと、2013年3月末の個人金融資産は1,571兆円に上っています。その内、現金・預金は848兆円で全体の54%を占めています。因みに、国債を含む有価証券は228兆円で14.5%となっています。
そして、それらを保有する富裕層の定義は金融資産で8,000万円~1億円を保有する層と言う定義が一般的ですが、「メリル・リンチ」と「キャップジェミニ」が毎年発表する「ワールド・ウェルス・レポート2011」によりますと日本の富裕層人口は173万9,000人となっています。このレポートの富裕層の定義は、不動産・耐久消費財・収集品を除き投資可能資産を100万ドル(約8,000万円)以上所有する資産家を意味します。
また別の調査では、世帯数で見た場合の金融資産1億円以上の富裕層は約90.3万世帯の約151万人で、その金融資産の合計は約254兆円で全世帯数の1.8%の世帯が個人金融資産全体の20.7%を占めている計算になります。
只、この場合の金融資産は自社株式も含んでいます。例えば、キャッシュは持たないが自社株式を1億円保有する人も含まれている訳です。しかし、この様な富裕層はヘッジファンドの投資はできません。つまり、富裕層の中でヘッジファンドに投資できる人は、キャッシュ(銀行預金を含む)で1億円前後の資産を持っている人ということになります。
また、株式投資を行っていない高齢の富裕層はヘッジファンドの投資を考えていないことは言うまでもありません。ヘッジファンドは株式投資よりもハイリスク・ハイリターンの金融商品だからです。
従って、日本の富裕層でヘッジファンドに投資しているのは、毎年、収入が数千万円~億円単位で入って来る人達が主流です。例えば、大企業経営者やベンチャー創業者・医師・弁護士・プロスポーツ選手・芸能人・政治家などです。つまり、収入は多いのですが、仕事が忙しく自分で運用する時間が無い人達が投資していると考えられます。


ヘッジファンドの投資家は二極分化している

ヘッジファンドの投資家は二極分化している 世界的に持つ者と持たざる者の格差が拡大していますが、アメリカのデータでは全世帯の収入総額に対する上位1%の世帯収入が占める割合は1929年に23.9%のピークを付けた後、1970年代には10%程度まで下がりましたが2000年以降急増し2005年には再び23%台に乗せています。
また、1979年と2006年の比較で各家庭の所得がどのくらい増えたかを見ますと、中流層で所得が16%増加したのに対して上位20%の層では57%増加し上位5%の層では87%増加しています。
更に、CEOのトップ100人の平均給与が平均的な労働者の給与の何人分なのかを見ますと、1970年は45人分だったのに対し2006年には1,723人分に膨れ上がっているのです。
従って、日本の現状はアメリカほどではありませんが、所得や資産の格差が開いていることは間違いありません。
つまり、ヘッジファンドはこの様に1人では使い切れない、行き場の無い資金の運用先と成っていることは否定できません。今後も市場原理主義経済が続く限り経済格差は益々広がっていくものと思われます。
従って、ヘッジファンドの投資家は二極分化の傾向が顕著です。つまり、上記の様な富裕層の投資家と一般の投資家に二極分化しています。
この傾向は投資家サイドの都合ではなくて、ヘッジファンドサイドの都合と考えられます。つまり、中小のヘッジファンドや後発の証券会社系のヘッジファンドが、投資単位を引き下げているのです。ここにも「ヘッジファンドの投資信託化」の傾向が読み取れます。
そして、ヘッジファンド投資家で忘れてはならないのは機関投資家です。
特に、最近の傾向として機関投資家や大手法人のヘッジファンドの利用が増えています。
例えば、企業年金基金や金融機関などの機関投資家や事業会社や学校法人などの大手法人です。これらの機関投資家や大手法人は、従来、自家運用していましたが、運用難からヘッジファンドを購入するケースが増えています。