ヘッジファンドの45日ルール

ヘッジファンドの45日ルール

そもそも「45日ルール」とは

そもそも「45日ルール」とは 投資信託は不特定多数の投資家に公開販売しているファンドですから基本的に解約は自由で多くのファンドの場合は、毎日、ファンドの基準価格が発表されますから、毎日、解約を受け付けています。
しかし、ヘッジファンドは私募形式で、50人未満の特定の投資家から集められたファンドです。従って、1人の投資家の解約がファンド全体に与える影響が、より大きいと言えます。
そのため、多くのヘッジファンドでは、解約を決算期に限定するファンドが多いのです。また、ヘッジファンドの決算期は顧客企業の決算期と同じ場合が多いので12月決算が多くなっています。
そして、1人の投資家の解約がファンド全体に与える影響を小さくするために、ヘッジファンドを解約する場合は45日前に通知するという「45日ルール」が守られています。
つまり、大きなファンドの解約の場合は、時間を掛けてなるべく相場に影響を与えない様に配慮しているのです。従って、12月決算のファンドの場合は11月中旬に通知することになっています。また、中間期や四半期での解約を認めている場合がありますから、その場合は2・5・8月中旬までに通知することになります。


「45日ルール」の影響

「45日ルール」の影響 特に、現物株式市場に於いて、ヘッジファンドの「45日ルール」による売りが多いとされているのは5月と11月の中旬です。確かにヘッジファンドの決算期は12月が多く、中間決算期の6月や本決算期の12月の45日前の5月と11月の中旬にファンドの解約が多いことは考えられることです。
しかし、もともと、最近のヘッジファンドの投資戦略別内訳は、株式ロング&ショート29.5%・マルチ15.5%・アービトラージ13.3%・フューチャー11.6%・マクロ8.9%・その他20.9%となっています。従って、この中で先物指数の下落要因に成り得るのは、フューチャーの11.6%程度です。しかも、現物株の下落要因に成り得る投資戦略は殆どありません。例えば、株式ロング&ショート29.5%のロングポジションだけを精算することは考えられないからです。
従って、現物株式市場に於ける5月と11月中旬のヘッジファンドの「45日ルール」による売りとは、殆ど根拠の無いものと考えられます。恐らく、相場が言わせた後付けの下落要因として使われているのではないでしょうか。